遊休農地解消へ
遊休農地解消へ
龍郷町内にある遊休農地。解消には所有者、担い手双方への呼びかけが必要となる
龍郷町農委
農地中間管理機構の周知徹底
龍郷町農業委員会(重山末吉会長、委員9人)はこのほど、適正事務の実施に向けた2014年度目標と達成に向けた活動計画を策定した。計画では遊休農地の5㌶解消、認定農業者2経営増、担い手への農地集積5㌶を目指す方針だ。だが、同町では農地の規模や基盤整備に加え、農家の高齢化など様々な課題を抱えるなか、今年度から新たに国の農地中間管理事業もスタート。遊休農地解消には所有者、担い手双方への呼びかけが必要だ。
14年3月末現在の管内の農地面積743㌶に対し、遊休農地面積は183㌶。3年前と比べ35㌶、管内農地に占める割合も5%増加した。背景には農家の高齢化や後継者不足があり、2年間で認定農業者も4経営減少した。
担い手農家への農地集積も進んでいない。これまでの集積面積は103㌶で、集積率は13・8%に過ぎない。管内農地面積には20年以上前から耕作放棄され将来的にも農地使用が困難な山間部の農地も含まれるが、登記者から非農地申請が滞っていることも原因の一つだ。多くの人が所有者となっている登記上の問題もある。
同町の農地には奄美市笠利町に挙げられるかんがい設備がなく、小規模農地が多い。重山会長は集積しにくい事情に加え、「農業で生計を立てにくく、大規模農家を目指す若い世代も少ない」と指摘する。
鹿児島県や同町は、集落や地域が抱える人と農地の問題を解決するため、「人・農地プラン(地域農業マスタープラン)」を策定。同プランに位置付けられると、45歳未満の認定新規就農者で独立・自営就農する人に対する青年就農給付金や、認定農業者へのスーパーL資金5年間無利子化などで営農を支援している。
さらに国は今年度から、各都道府県に農地中間管理機構を創設。地域内に分散した農地や耕作放棄地などを機構が借り受け、必要に応じて基盤整備を行い担い手に貸し付け、遊休農地解消の改善や就農促進対策強化を講じる方針だ。
同委員会事務局によると、現在、町内農家から同機構への農地貸し出しは数件にとどまっているという。今月末に開かれた委員会では、農家への同機構利用呼びかけや活動計画を確認した。
重山会長は「農地中間管理事業の浸透次第で、委員会の役割も変わる。農家への周知に加えて農地パトロールや指導などにも努め、遊休農地の解消や担い手育成に努めたい」と話した。