喜界島でヤシガニ
喜界島でヤシガニ
喜界島の路上で見つかった、珍しいヤシガニ(提供写真)
世界最大の陸生甲殻類
発見例少なく、「生態研究の貴重なデータ」
希少性の高い、世界最大の陸生甲殻類のヤシガニ(オカヤドカリ科)がこのほど、喜界島内で見つかった。一般財団法人「沖縄美ら島財団総合研究センター」によると、奄美での発見例は少なく、「生態研究の貴重なデータ」として話題を呼んでいる。
ヤシガニは29日現在、喜界町浦原の南郷一光さん(60)の自宅で保護している。南郷さんによると、同日未明、車で町内を移動中だった友人が同町先山の路上で、体長20㌢、脚を広げると30㌢以上になるヤシガニを発見。南郷さんは「喜界島ではあまり見ないので、実物を見て驚いた」と話している。
カニの仲間ではなく、ヤドカリ(特にオカヤドカリ)に近いヤシガニ。同センターによると、分布北限は小宝島(トカラ列島)と推定され、国内では主に南西諸島の沖縄地方で生息するが奄美での発見は珍しい。約50年生きる長寿種だが、近年は個体数の減少を危惧した沖縄県内の自治体(多良間島、宮古島)で保全条例が制定されているという。
発見された個体については、「地元繁殖したものではなく、南方から浮遊して運ばれてきた可能性がある。生息数は少ないので、今回の発見は生態研究の上で非常に興味深い」(同センター担当)としている。
自宅で預かっている南郷さんは「めったに見られない生き物。近所にも見せてあげたい」と話し、しばらくは周囲の注目を集めそうだ。